1枚の写真と1話のエピソードと1杯の酒

ブログ初心者が旅で訪れた場所などについての行き方や、魅力などを書いていきます。目標は、とりあえずは日本全47都道府県に訪れることです!

天橋立、一杯のビールへの道

 さよなら伊根

 

f:id:kitch2017:20171112212530j:plain

伊根町を散策した後は、また路線バスに揺られて元来た道を引き返す。

行きと帰りが同じ道でも、進む方法が違うと景色の見え方もちょっと変わってくる。

例えば、日本一周旅をするとして、右回りと左回り、どっちを選ぶかは、結婚相手を選ぶのとおんなじぐらい難しい。(そんな大袈裟な…)

海沿いを車で回るなら、右回りのほうが対向車線を挟まずに景色を楽しむことができるから好きかな。

単線の列車やったら、どっちでも一緒やけどね。なんて言ったら元も子もないか。

 

結局、伊根町での滞在時間は約2時間。

観光バスで訪れ、悠々とすごすお年寄りの集団を尻目に、一人バス停でポツンとバスを待つ。

行く場所があらかじめ決まってるバスツアーもいいけど、自分で行く場所、すごす時間を自由にカスタマイズできるほうが、ぼくは好きだ。

14時頃のバスに乗って 15時頃に天橋立駅前に到着、その足で今夜の宿にチャックイン。

 

 今夜のお宿は

 

 

今回、宿泊したのは、天橋立から徒歩5分ほどと、便利な立地の「オーベルジュ天橋立」

こじんまりしたビジネスホテルで、平日でも何組か他のお客さんとすれ違うぐらいには賑わってた。

平日の旅は、場所によって貸し切り状態のところも少なくない中で、やっぱり観光地なんやな、と改めて実感。

利用した部屋は6畳ほどの洋室で、トイレ・バスはついてない。

 

その代わりに、お隣の「天橋立ホテル」の温泉大浴場を利用できる。

ここの温泉は、露天風呂から天橋立が眺められる絶景スポットも付いてる。

油断してると外から見えるらしいので、注意が必要ですが。

サウナとソウルピットから出た塩がたっぷり壁に堆積した涼室もあって、旅の疲れもスッキリと落とせる。

外国人の観光客が風呂にパンツ履いたまんま入ってたけど、そんなことも気にならないくらいにリラックスすることができた。

 

安価に旅したい若者向けの印象。

素泊まりで4.815円でした。

ぼくは、宿を取るときは、大体いつも食事なしの素泊まりを選ぶようにしてる。

宿の食事が売りのところもあるけど、自分で店を探して、その土地ならではのものをやっぱり食べたいから。

今夜の夕食は、宮津市のご当地B級グルメの「カレー焼きそば」をチョイス。

こりゃホテルじゃ出てこない代物。

カレー焼きそばは、後で詳しく書くよ。

 

 

 天橋立ってどうやって渡る?

 

 f:id:kitch2017:20171112212733j:plain

チャックイン後、荷物を整理し、16時前頃にようやく天橋立観光へ。

お土産物屋さんの並ぶ通りをそぞろ歩きしながら、天橋立へと向かう。

天橋立を渡るには、徒歩、自転車、船といくつか選択肢があるけど、無難なのはレンタサイクル。

 

行きはレンタサイクルで、帰りは観光船のセットも目立つ。

歩いて渡るのもゆっくりできそう。レンタサイクルで優雅にサイクリングも楽しそう、それに楽そう。帰りは船かなーとか考えながら、ここはやっぱりレンタサイクルを選択。

何軒か眺めながら、適当な店に何も考えずに入ってみたところ……

あと30分で閉店ですとのこと…涙

当然、閉店までに返却しなきゃならない。

でも30以内に行って帰って来るなんて、脇目も振らず爆走しない限りは無理。

地方の観光地あるある、5時にはほとんどのお店が閉まるをここにきて、身に染みて実感させられてしてしまった。 

f:id:kitch2017:20171112212929j:plain

仕方なく、レンタサイクルを断念しとぼとぼと徒歩で渡ることに。

いいよいいよ。歩くのも悪くない。チャリンコじゃ見られない景色をゆっくりと見てやるんだから。

天橋立は、全長約3.6km

のんびり歩いて、1時間弱。

対岸にある「笠松公園」のケーブルカー乗り場まで歩くとやっぱり1時間はかかる。

この時点で、時間は4時。

ケーブルカーの最終は5時半。

どのみち急がねば…。

時計と相談しつつ、じっくりと松の道を楽しむ。

天橋立の入り口近くにある知恩寺は、とりあえず後回し。

f:id:kitch2017:20171112213024j:plain

 

天橋立って、湾の南北を繋ぐ細い一本道で、当然両端は海に面してる。

でも、ここに生えてる松の木は海水じゃ育たないどころか、そんなもの吸い続けたら、枯れるんじゃないか、でもここにはびっしりと繁茂してる。

いくら塩に強い松だからって、この環境はひとたまりもないんじゃないかって心配をよそに、立派に育つ松。

あの細い小道の地下を流れる真水を吸いながら、逞しくそび立つ姿に自然の神秘を感じずにはいられなかった。

 

 対岸まではまだまだ遠い

 

f:id:kitch2017:20171112213329j:plain

歩き始めてほどなくすると、「天橋立神社」が見えてくる。

「日本名水100選」にも選ばれた、「磯清水」もこの近くにある。

れっきとして真水が滔々と湧き続けてる。

手を清めて、お参りへ。

なんでも、恋愛成就のパワースポットだとか。

いつもより念入りに祈願を奉げる。

ご利益や如何に。

 

夕方が近づいても、一向に涼しくならない初夏の頃なので、歩けば歩くほど汗が噴き出てくる。

それにつられて、耳の周りに虫がまとわりついてくるのが不快でしょうがない。

でも、ここを抜けて、ケーブルカーで山に登ると、もうすぐ展望台から絶景が見られる。

すれ違うのは、黙々と雑草を刈り続ける公園整備のおじさんぐらい。ご苦労様です。この綺麗な一本道はおじさんたちの寡黙な仕事で支えられてる。

 

f:id:kitch2017:20171112213427j:plain

ところどころに建立された石碑をちょっと止まって眺め、また歩き出す。

一つ一つに歴史があるんだろうな。

 

今頃展望台から、誰かがぼくが闊歩する様を見てるんだろうな。

いやいや、さすがに見えないだろ。

歩けば歩くほど体力がどんどん消耗する。

自動販売機なんかどこにもない。

ここに足を踏み入れる前に、ジュースの一本でも買っとくんだったなって後悔しても仕方ない。

喉がカラカラになってきても歩く。

後何キロを示す看板と、向こう岸に着いたら、絶対アイスかジェラート食ってやるって気持ちを励みに歩き続ける。

 

最初ははるか彼方だった対岸が徐々に見え始める。

向こう岸はもうすぐ。岸沿いにうねる道をたどっていくと、ようやく観光船乗り場がある「一の宮桟橋」に到着。

帰りはここから観光船に揺られて帰ることを決意。

最終便は5時45分。

この時点で、時間は5時前。

ケーブルカーは15分置きに便があるので、次は5時。

やばい。

 

 ようやくケーブルカーにたどりつき、

f:id:kitch2017:20171112213629j:plain

 

 

一の宮桟橋から横断歩道を渡って、「元伊勢籠(もといせこの)神社」を抜けて、ケーブルカー乗り場へと急ぐ急ぐ。

せっかくの神社の有難みを噛みしめる暇もなく、とにかく歩を進める。

発券所でチケットを買い、もう発車しますよと係の人に急かされながら今にも動き出しそうなケーブルカーに滑り込むと、そこは自分一人の貸し切り空間。

他に乗客は誰もいなかった。

なんてことだ。

じゃあそんなに急かさなくてもいいやんか…と思いきや、ケーブルカーって、山頂から降りてくるもう一対のケーブルカーと一本のケーブルで繋がってるので、片方が止まると、もう片方も止まる仕組みらしい。

つまり、山頂の方が発車すると、自然と麓の方も引っ張り上げられることになる。

だから、片方だけを止めることはできないって訳。

親切な解説のお兄さんが僕一人に説明してくれた。

ケーブルカーは単線で、中央地点ですれ違う必要がある。

接近し、また遠ざかっていく対向車を天橋立に重ねて見る景色がまたいい。

乗車時間はわずか6分ほどやけど、これだけでもアトラクションを楽しめる。

 

 たどりついた先にあったものは

 

 

f:id:kitch2017:20171112213709j:plain

ようやく頂上に着き、ケーブルカーを降り、笠松公園の股覗きポイントへ。

やっぱりこの時間でもそれなりに人がいる。

みんな記念撮影に専念してる。

さすがに眺めは最っ高の絶っ景!!

天気も良く、遥か彼方まで見通せる。

かつて雪舟水墨画で描いた淡い景色がありありと眼前に広がってる。

雪舟は、80代の頃に天橋立までやってきて絵を描いたという。

当時の80代って、もう天然記念物級の長老の域。

脚は丈夫やったんやろか。

眼はまだ濁ってなかったんやろか。

同じ景色を30代で眼にするぼくには、想像もつかない昔の苦労があったんやろな。

そんなこと考えてたら、ここまでたどり着くのにかかった時間も苦労も、その甲斐があったんだって、思えてくる。

よかった、ちゃんと来ることができて。

途中で挫折しなくて。

 

景色を一しきり楽しんだ後は、併設のお土産物屋を物色。

暑い中いっぱい歩いたから、身体が冷たいものを欲してる。

お土産物で、大体どこにでもある定番のもので、冷たいものっていったら、ご当地の食材を生かしたアイスとかジェラート、ジュース、最近は地域限定のサイダーもあったりする。

そんな中で、真っ先に眼を止めたのは、もちろんビール!

見つけたのは、「天橋立ビール」。

聞いたことないビールやけど、どうやら地元の会社が製造してるらしい。

ラベルは天橋立やけど、中身はしょうもないビールだったら承知しねぇぞ!

確固たる拘りがあるわけでもないのに、強気。

お味は…

 

ウンメー!!

 

スタンダードな作りやろけど、しっかりした堅実なビールの印象やった。

(雑な感想でごめんなさい!)

 

f:id:kitch2017:20171112213908j:plain

 

有名か無名かなんて関係ない。

汗水流して自分の足で現地を訪れ、身銭を切って手にする喜びがある。

誰のものでもない自分だけの、オーダーメイドの経験があるからこそ、生きてくるものがあるんやな。

ビールの味は、この経験に彩を添えるための一つのシンボルだったのかもしれない。

忘れることのできない一杯だったと思う。

 

(つづく)